哀しい結末
さっきまで一緒にいた彼が
突然植物状態となってしまってから
3ヶ月が経とうとしている
この3ヶ月の間に
彼のご家族も
私の家族も生活が一変してしまった
不倫は必ず誰かが不幸になる
誰か1人だけで済むのなら
それが私だったなら
どんなによかっただろう
彼が社会に戻らない人となったことで
彼のご家族に
私の存在が明るみになった
彼が元気だった最後の頃
よく話題になったのが
バレた時の事だった
♠︎「俺は覚悟できてるから」
その時の私といえば
明言できなかった
ただ、彼の覚悟がうれしかった
そして私の覚悟は中途半端なまま
私の存在が明るみになった
彼はもう戻らない
彼はもう何も言えない
彼はもう私を守れない
私は覚悟を決めた
だから私は答えた
“心から愛しています”
と
彼が最後に愛した人は紛れもなく私
彼を汚すわけにはいかない
私が彼を守らなくては
彼が残した物の中に
私との覚悟の証明があった
彼が倒れる前に
決めていた覚悟
それは本物だった
私たちの絆
彼の奥さんがそれを目の当たりにした瞬間
どんなお気持ちだっただろうか
それでも家族だから、と
夫に問い詰めたい気持ちを封印し
これからも意識の戻らぬ夫に添い遂げようと
それも、奥さんの覚悟
そして夫婦の絆
不倫は必ず誰かが不幸になる
わかってるつもりだった
でも
なんにもわかってなかった
運命と宿命
運命の人、と信じて疑わなかった彼と私
出逢うべくして出逢い
ずっと一緒にいたい、とお互いが想い
2人で築き上げてきた
その気持ちは今でも変わらない
相反してどんなに努力をしても
変えることのできない宿命
彼はもう戻らない
お互いがどんなに想い合っていても
“父は嘘がつけない、まっすぐな人でしたから”
娘さんが私の目を見て言う
“何年も前から私たちはあなたと父との事
知っていたのご存知でしたか?”
“父とは最終どうなりたいとお考えだったのですか?”
聞かれたことには
全て正直に答えた
嘘や誤魔化すことなく
もうみんな、これ以上の傷などない
“俺は親父が誰とどうなろうと、親父が決めたことだから、と思ってた。
男だったらわかるだろう、と親父に言われてたから。
でも、その陰で泣いてる母を見るのは辛かった”
と、息子さんが言った
“あなたにもお子さんがいるでしょう
どうか、お子さん達を大事にしてほしい”
彼のお子さん達が最後に私にくれた言葉
彼への気持ちは一旦封印しようと
何度も何度も言い聞かせてきたけれど
やっぱり溢れ出す
押し殺そうとすればするほど
込み上げてくる
私の中では
やっぱり彼しかいない
彼がこの先
意識を取り戻したり
奇跡的に社会復帰したり
もしも、この世を去ってしまったりしても
私の耳に入ることは、もうない
でも
ただひとつ、これだけは変わらない
私は彼を愛し続ける
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