Love Forever

愛しくて切ない婚外恋愛

730日目

あの日から

そう、彼が倒れたあの日から

1日目、2日目…

と、毎日日記をつけている

今日で730日目


本当に1年は365日なんだと

今までこんな風に

数えてきたことなんてなかったから

本当に1年が365日あって

2年経つと730日になるんだと

初めてわかった


去年の1年間は

「去年の今日は…」

と、彼と過ごした日々を想っていたのが

もう随分と過去のものになってしまっていて

「あれって、2年前だっけ?3年前だっけ?」

彼と過ごした3年間が

一括りになってしまったようだ


環境も状況も

彼がいなくなってから

すっかり変わってしまったが

ふと、立ち止まった瞬間にわかるのは

私の心だけは

なにも変わっていない

ずっと同じところで立ち止まったままでいる


1人でいる時

思わず口に出るのは彼の名前


美しいものを見ても

美味しいものを食べても

彼を一番に想い起こす


11月

彼が倒れたあの日のすべてがよみがえり

苦しくなる

息ができなくなる

逢いたい

ひと目でもいいから逢いたい


ううん

逢えなくてもいい

逢えなくてもいいから

ただただ生きていて欲しい

梅雨の合間の晴れ間

あれから…

マナトは復活し

1ヶ月経った今は

失っていたやる気を取り戻し

また、私たちは定期的に逢って

お互いに満たされないところを

補い合っている






彼女とは知り合って1年になる


その彼女は私の処方箋


私に必要なことを

押し付けるわけではなく

ヒントとして与えてくれる


私はそこから模索して答えを出す


そんな彼女と恒例の月イチのデートの日が決まった



彼が倒れてから

一度も降り立つことのなかった、

彼との思い出の地に彼女を誘った


「ここは彼とのね…」


そんな私の譫言にも彼女は

「うん、うん」

と聞いてくれた


550日以上が経った今も

初夏の景色はあの頃のままで

河も木々もお店も

何ひとつ変わっていなかった


私はどうだろう


自分で自分が変わった

と、公言するほど変わろうともしていない


彼と私を見守ってきてくれた、

あの木々たちのように

春には芽吹き

夏には萌え

秋には落ちて

冬には眠る


変わろうとしなくとも

変わってゆく



そんな550日余りを過ごしてきた


来月には彼がいなくなってから

彼の2回目の誕生日がくる



「奇跡が起こるといいのにね」


彼女の言葉に渇いた心が潤う


“隣にいてくれてありがとう”


空の写真を撮っている彼女の背中につぶやい

残像

相変わらず、慌ただしい毎日の中で

当時は気にも止めていなかった会話、

彼の発した言葉の数々が

当時のまま、蘇る瞬間がある


忘れていたシーンや

彼のその時の表情までもが

鮮明に蘇るのだ


その時々に、私も言葉を返していたのだが

今、ひとつひとつを思い起こしてみると

何気ない会話だったであろうその言葉たちも

今となっては、それらの一言一句が

彼のすべてだった事に重みを感じる



彼が倒れて500日余りの月日が経った今も

ずっと、ずっと

恋しくて切なくて

たまらない



そんなある日

彼の息子さんに

バッタリと出会ってしまった


1年と2ヶ月前、


「親父が決めたことならば、親父が誰とどうなろうが好きにすればいいと思っていた。

男のお前なら分かるだろう、とも言われていたから。

ただ、その陰で泣いてる母をみるのは辛かった」


そう言われたのが最後だ


お互い、一瞬にして凍りつき

そして何も無かったかのようにやり過ごした


本当に一瞬だった

その一瞬に、彼の面影をみた

胸がキュゥッとなり

乱れた呼吸を整えるために深呼吸をした



逢いたい


逢いたいよ


ただただ、彼に逢いたい…



今宵も

月に祈り

星に願いを…



あなたに逢いたい