Love Forever

愛しくて切ない婚外恋愛

七夕に想う

一年前の七夕に書いた記事を読み返した



彼からの

溢れんばかりの愛情に

包まれた日だった


それからわずか

4ヶ月後には

彼が

社会復帰が不可能な状態になるなんて

夢にも思わなかった



2年前も3年前の七夕も

彼に愛され

彼を愛したことが記してあった


更新されることのない、

遠く、過去のものになっていく想い出たち



彼が倒れてから

もう8ヶ月になろうとしている

眠り続ける彼の記憶の片隅に

私はいるのだろうか


もう声も聴くことができない

触れることも

見つめ合うことも

抱きしめられることも

抱きあうことも

ヤキモチを妬いたり

妬かれたりすることも


目に見えるものは

何ひとつ、与えられることは

二度とない


それでも私は彼を愛してる

姿形がみえなくとも

愛しいという気持ちが溢れてくる



少し前に

新しい出会いがあった


彼女からは

彼を色褪せたものにしない、

でも確実に進んでいける何かを感じる


彼が引き合わせてくれた縁なのでは、

と思わずにはいられない


私は今も

相変わらず

毎日泣いているし

泣き叫んでもいる


人の気持ちはわからない

その人にしかわからないもの


だから、推し量りながら押し付けない


彼と共に過ごしていた頃に

出会っていたかった、と少し思う



七夕の夜



私の

たった1人の彦星さまを想う


いつか、いつか

彼に逢えますように…



そして

前記事に載せていた

彼からの贈り物のブレスレットは

すぐさま、修理に出しました


そして

七夕の今日

引き取りにショップへ行き

無事に私の左手首へと

戻りました



いつか、いつか

彼に逢えますように…

そう祈りながら…

空虚

最愛の彼が倒れてから

半年が過ぎる


相変わらず私は

毎日泣いている


彼を想わない日はない



もうすぐ彼の誕生日


彼の誕生日の時期は

気候がとてもよく

毎年アウトドアで

お祝いをしてきた


今年はもう、ない

来年も

再来年も


彼の写真に

泣きながら語りかけ、問いかける


私のために歌ってくれた動画で

彼を蘇らせるも

言葉にできない感情が溢れ出て

また、堕ちる


彼からもらった

愛に満ち溢れた言葉たちが

記憶の中で溢れ返り

胸をしめつける




「また明日ね」

と、別れたきり

翌日から逢えなくなってしまった私たちは

もう、

“別れた”のだろうか…

二度と逢えないことが

明確にわかっている私たちは

もう、

“別れてしまった”のだろうか…


誰か教えてほしい




もしも、たったひとつだけ願いが叶うなら


彼を元の身体に戻して欲しい


もしも、それが叶ったとしても

ご家族に知られてしまった以上

私たちは

あの頃の2人には戻れない


ならば


もしも、たったひとつだけ願いが叶うなら


彼が逝くときに

私も一緒に連れていってほしい



月を見上げて

彼の回復を祈り


星を眺めて

彼と一緒に逝かせて欲しいと願う


毎夜、2人で肩を並べて

眺めた夜空は

今宵もなにも変わらない


そしてこれからも

漆黒の闇は続く


明けない夜などない

なんて嘘だ





3ヶ月ほど前のこと


あの日以来

いつもの様に接客業の仕事を

ズタボロな気持ちと面持ちでこなしていたら


「こんにちは」


と、懐かしい声に顔をあげた


そこにいたのは

5年ぶりの

彼とつきあう前に

9年間、一緒にいた8歳年下のマナトだった


彼が倒れてから

10kg近くも痩せてしまった私を見て


「相変わらず綺麗だけど

随分痩せた感じがするし

心なし、元気がないようにみえるけど

大丈夫なの??」


自分の足で立つのに

精一杯だった私は

元彼を前に

ポロポロと涙が溢れた


マナトは一瞬驚いたが

それには触れず

「近くに用事があったんだ」

と言った



マナトと別れてから

今の仕事に就いたので

なぜ私がここにいる事を知っていたのか

その時は、そんな事は思いもつかなかった



その日は

数分言葉を交わしただけで

「またね」

と、別れた



「何年か前にルイの事、偶然見かけたんだ。

でも、俺といた頃よりもずっと綺麗になっていて

声をかけるのを躊躇ってしまったんだ。

でも、あれからずっと気になっていて…

今日なら声をかける勇気みたいなものが出てさ」


その日の夜に

そんなメールが届いた



私たちが別れることになったのは

“お互い離婚をして

子供たちを引き取って

一緒になりたい”、と

告白をされたのがきっかけだった


「あなたはまだ若い。

まだ小さなちぃちゃんには

私ではなく、本当のママが必要だよ。

そして、私はあなたの子供を生んであげることはできない」


あの頃のマナトの奥さんは

ノイローゼ気味で

育児、家事のほとんどを放棄していた


そんな当時、2歳になったばかりの

マナトの娘さん、ちぃちゃんとは

何度も会ったことがあった



1年近く話し合いを続けた結果

私たちは別れた



出会った頃

20代だったマナトは

30代後半になっていた


変わらず整った綺麗な顔で

昔から鍛え上げられた肉体は

服の上からも見て取れるほど

美しかった



「ルイさえよければ

また会いたい。

あの日、ルイを見つけたのは

偶然なんかじゃなく、必然だったんだよ」



その日のうちに返信をしなかったメールの

最後にはそう書いてあった



次の日


「声をかけてくれてありがとう

ちょっと疲れてたから

懐かしさで泣いちゃったよ、ごめんねー」



そうメールをしてから

マナトからは

「ルイ、今日は元気かな?」

と送られてくるようになった


他愛もないやりとりを

毎日しばらく交わした



勇気を出して声をかけてくれたあの日から

数週間が過ぎた頃

「仕事が早く終わりそうだから

ルイのアップの時間に会いに行くよ」

休憩時間にメールが届いていた



9年間も一緒にいたのだから

好きだったはず

そして、嫌いになって

別れたのではない


“ずっと一緒にいようね”


確かにそう誓い合った


そして、9年間の最後の日は

哀しみや寂しさは全くなくて

マナトの幸せを願うばかりだった


それは別れた後も

彼とつきあうようになってからも

彼が私の隣からいなくなった今も

変わらない思いだ


今の私が水瀬さんを想っている

“好き”

あの頃の私がマナトを思っていた

“好き”

とは違う


全然違う


全然違う…


そして、今の

そしてこれからも続くこの空虚感が

元彼で埋まるなんて

思ってもいない



「ご家族を大切にして」


そう、メールを送って最後にした

哀しい結末

さっきまで一緒にいた彼が

突然植物状態となってしまってから

3ヶ月が経とうとしている


この3ヶ月の間に

彼のご家族も

私の家族も生活が一変してしまった


不倫は必ず誰かが不幸になる


誰か1人だけで済むのなら

それが私だったなら

どんなによかっただろう


彼が社会に戻らない人となったことで

彼のご家族に

私の存在が明るみになった


彼が元気だった最後の頃

よく話題になったのが

バレた時の事だった


♠︎「俺は覚悟できてるから」


その時の私といえば

明言できなかった


ただ、彼の覚悟がうれしかった



そして私の覚悟は中途半端なまま

私の存在が明るみになった


彼はもう戻らない

彼はもう何も言えない

彼はもう私を守れない


私は覚悟を決めた




だから私は答えた


“心から愛しています”


彼が最後に愛した人は紛れもなく私

彼を汚すわけにはいかない

私が彼を守らなくては


彼が残した物の中に

私との覚悟の証明があった


彼が倒れる前に

決めていた覚悟

それは本物だった

私たちの絆


彼の奥さんがそれを目の当たりにした瞬間

どんなお気持ちだっただろうか


それでも家族だから、と

夫に問い詰めたい気持ちを封印し

これからも意識の戻らぬ夫に添い遂げようと

それも、奥さんの覚悟

そして夫婦の絆


不倫は必ず誰かが不幸になる


わかってるつもりだった


でも

なんにもわかってなかった


運命と宿命


運命の人、と信じて疑わなかった彼と私

出逢うべくして出逢い

ずっと一緒にいたい、とお互いが想い

2人で築き上げてきた

その気持ちは今でも変わらない



相反してどんなに努力をしても

変えることのできない宿命

彼はもう戻らない

お互いがどんなに想い合っていても




“父は嘘がつけない、まっすぐな人でしたから”


娘さんが私の目を見て言う


“何年も前から私たちはあなたと父との事

知っていたのご存知でしたか?”


“父とは最終どうなりたいとお考えだったのですか?”


聞かれたことには

全て正直に答えた

嘘や誤魔化すことなく

もうみんな、これ以上の傷などない


“俺は親父が誰とどうなろうと、親父が決めたことだから、と思ってた。

男だったらわかるだろう、と親父に言われてたから。

でも、その陰で泣いてる母を見るのは辛かった”


と、息子さんが言った


“あなたにもお子さんがいるでしょう

どうか、お子さん達を大事にしてほしい”


彼のお子さん達が最後に私にくれた言葉



彼への気持ちは一旦封印しようと

何度も何度も言い聞かせてきたけれど

やっぱり溢れ出す

押し殺そうとすればするほど

込み上げてくる


私の中では

やっぱり彼しかいない



彼がこの先

意識を取り戻したり

奇跡的に社会復帰したり

もしも、この世を去ってしまったりしても

私の耳に入ることは、もうない



でも

ただひとつ、これだけは変わらない


私は彼を愛し続ける