Love Forever

愛しくて切ない婚外恋愛

2度目の春

彼が私の隣からいなくなって

2度目の春


彼自身の娘のように可愛がってくれていた

我が娘も今日から大学生


高校の入学式の

ツーショット写真を送った3年前は

「誰が撮ったの?」

と、露わに夫への嫉妬心をむき出しにしてたっけ


春独特の色、空気、匂いは

彼を想い出させる


彼も同じ様に感じてくれていることだろう


彼の魂は

今もこの世にあるはず



だから…


哀しくなんかない

運否天賦

1年前の今日

歳下のマナトと

再会した日



「俺といた頃よりも綺麗になった」

「だけど…なんかあった?」


そう言われて涙が止まらなかった日



あの日から

毎日お守りのように

身に付けていた

水瀬さんからのプレゼントの品々が

ひとつずつ、宝箱の中に仕舞われていった


マナトに抱き寄せられた瞬間に

弾け飛んだブレスも…



マナトが言う

「あの時はルイから離れていったけど

手放した俺が間違っていた

同じ過ちはもう繰り返さないよ」



水瀬さんと過ごした日々のような激しさは無い


だけど

欠けていたパズルのピースがはまったような

しっくり感




水瀬さんと毎日過ごした日々の中で

同じくらい大切に思っていたきょうちゃん


水瀬さんが倒れた事で

思わぬ形で離れ離れになることになった


水瀬さんがいた事だけで

繋がっていた縁は

簡単に切れてしまった



物事にはすべて意味がある



新たな記念日を迎えて

私はまた歩きはじめる

あの日から365日

未だに信じられないが

あの日から今日で一年になる


彼の容体は

今もまだ、知ることができずにいる


万が一の事があれば

それは必ず入ってくる


未だ、植物状態なのか

それとも、奇跡的に意識を取り戻し

本人の意思でリハビリが行われているのか

全くわからない


断言できるのは

万が一のことは起こっていない、ということだけ


彼と過ごした

あの、キラキラと輝いた3年間が

幻だったのかと思う日もあれば、

すがる思いに更ける夜もある


毎日声をあげて

泣き明かしていた日々が

少しずつ、泣かない日が増えてきて

でも、彼を想わない日はない



あの日という、私の生涯に刻まれたこの月は

私の誕生日もあり

毎日が、フラッシュバックとの戦いとなった


彼が全てだった日々を一瞬にして失っても

私には否応なく変わらぬ日常が待っていて

私を取り巻く環境も

変わらないこともあれば

変わり続けることもあり

また、それに順応していかなければならない


それが生きているということ


そして、人はひとりでは生きられない


人と関わりをもって

生きて、生かされている



縁とは不思議なもので

彼と一緒にいた頃に

私が必要としていた人とは疎遠になり

彼がいなくなってから

私に今、必要な人が私を支えてくれている


こんな風にしか生きられなかったのに

という、罪悪感の中で

私にぴったりと寄り添ってくれる人たちがいる


結論の出ない愚痴に

いつまでもつきあってくれたり

突然、思いつきで暴走しそうになると

引き止めてくれたり


そして、当然

一緒に泣いて笑ってくれる


「唯一、あなたにできないことって

身体を満たすことくらい?」


と言うと


「それはお互いさまだね」


と笑いとばしてくれた



それも、彼が引き合わせてくれた縁なのだと

全てに通ずるような気がしてやまない




あの日から365日、一年が経ち

新たなる第一歩、という気持ちになった


今まで中心にしていたスポーツから少し離れて

新しいことに取り組み始めた


切り離したことによって

得たものもまた、大きい


でも、それで決して、色褪せたり

薄れていくものではない


いつか逢える気がしてしかたがない


鮮明に今でも思い出すことのできる

彼の笑顔、声、匂い、ぬくもり


それらを私の身体に刻む

一生、消えない

彼と私のすべてを


Love Forever…